アタプエルカのグラン・ドリーナ遺跡で見つかった初期人類ホモ・アンテセッサーの歯。ここで発見された骨の化石から共食いを行っていたことがうかがわれる。(PHOTOGRAPH BY MARIA D. GUILLEN / IPHES-CERCA)

アタプエルカのグラン・ドリーナ遺跡で見つかった初期人類ホモ・アンテセッサーの歯。ここで発見された骨の化石から共食いを行っていたことがうかがわれる。(PHOTOGRAPH BY MARIA D. GUILLEN / IPHES-CERCA)

 スペインの考古学者らが、切断された痕がはっきりと残る、約85万年前の幼児の首の骨を発見した。これは初期人類の一種であるホモ・アンテセッサー(Homo antecessor)が、子どもを食べていた証しかもしれないという。

 スペイン北部のブルゴス近郊に位置するグラン・ドリーナ洞窟では、数十年前から、旧石器時代の人類がカニバリズム(共食い)を行っていたことを示唆する痕跡が見つかっている。7月24日に発表された今回の発見は、それをさらに裏付ける証拠だと研究者たちは述べている。(参考記事:「人肉はカロリー低め、旧人類はなぜ食べた?」)

「これは子どもが他の獲物のように処理された直接的な証拠です」と話すのは、カタルーニャ人類古生態学・社会進化研究所(IPHES-CERCA)の考古学者で、今回の発掘調査のリーダーの1人であるパルミラ・サラディエ氏だ。(参考記事:「4000年前の暴力物語る決定的証拠、矢じりが刺さった肋骨を発見」)

 首が切り落とされていたとしても、必ずしも死者の肉が食べられた証しではないと、サラディエ氏は言う。しかしこの子ども(推定年齢2~4歳)に関しては、人肉食されたことはほぼ明らかだと同氏は考えている。

ギャラリー:初期人類の幼児の首の骨に切り傷を発見、85万年前から共食いか 写真4点(写真クリックでギャラリーページへ)

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初期人類ホモ・アンテセッサーの子どもの脊椎。切断痕はカニバリズムが行われていたことを示唆している。(PHOTOGRAPH BY MARIA D. GUILLEN / IPHES-CERCA)

 幼児の椎骨は、他の9人の骨と一緒に洞窟内の約85万年前の地層から見つかった。出土した多くの骨には切断された痕の他、破砕された痕もあった。骨髄を食べるために骨を破砕したためだろうと研究者チームは考えているが、チームの結論に全員が同意しているわけではない。

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