睡眠の種類

記憶の定着、そして認知症予防にも欠かせないノンレム睡眠。質の良い睡眠は、学んだ情報を効率的に脳に刻み込み、不要な情報を整理する重要な役割を担っています。さらに、朝食が快眠に繋がる「脳腸相関」のメカニズムとは?

今回は、東京大学大学院 理学系研究科睡眠生理学研究室の林悠教授の監修書『ぐっすり眠り、スッキリ目覚める! 明日が変わる 睡眠の科学大全』(ナツメ社)を一部抜粋してご紹介いたします。

記憶力向上から健康維持まで、科学が解き明かす睡眠と食習慣の深い関係とは?


記憶を定着させるのも、ノンレム睡眠の役割


勉強後の質のいい睡眠で、記憶力アップ!

記憶には、「記銘」「保持」「想起」の3つのプロセスがあります。情報をまとまりのある思考やアイディア、イメージにして、保存するのが「記銘(エンコード)」。これを長期記憶庫に貯蔵しておくのが「保持」で、必要時にとり出すのが「想起」です。

ノンレム睡眠は、記憶の保持において重要な役割を担っています。固有名詞やできごとを覚える「エピソード記憶」、動作を覚えて習熟する「作業記憶」のいずれにおいても、記憶後の睡眠で記憶力がアップ。とくに徐波睡眠の時間が長く、ぐっすり眠れたときほど、記憶力が高まります。徐波睡眠や低振幅波を人為的に増幅させた実験でも、通常の睡眠後に比べ、単語の記憶力が高くなっていました(Marshall L et al., 2006)。

学習中+睡眠中の香り刺激で、効果が高まる

より効果的な学習につなげるための実験も。学習時と睡眠時に同じ香りをかがせると、記憶した内容を思い出しやすい。


細胞間の接続をよくし、記憶を定着させる

睡眠中の記憶の働きは未知の部分も多いものの、どこで何がおこなわれているか、徐々にわかってきています。

記憶の一次保管庫は脳深部の「海馬」で、長期保管庫は脳表面の「大脳皮質」。レム睡眠中に、一時保管庫から長期保管庫への移送作業をしている可能性があります。

ただし記憶庫の容量は無限ではありません。どうでもいい情報を忘れることも大切です。そこでノンレム睡眠で紡錘波が出ているときに、記憶の選別がおこなわれているという報告もあります(Saletin JM & Walker MP, 2012)。

さらにアルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ」は、レム睡眠中だけでなく、ノンレム睡眠中にも除去されています。ノンレム睡眠はこれほど重要で、多面的なメンテナンス機能を担っているのです。

記憶の強化も除去も、睡眠中におこなわれる

ノンレム睡眠中の脳内では下のようなメンテナンスがおこなわれ、大事な記憶を残している。


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脳と腸はつながっている。朝食で腸内環境をよくしよう