アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領がウクライナの停戦をめぐり、15日に会談することが明らかになりました。トランプ氏が交渉でカードとしてきたのが、貿易などを制限する経済制裁です。

「バンキシャ!」がモスクワの街で発見したのは、制裁のもとであるはずのない日本メーカーの製品でした。取材を進めると、ある国が“抜け穴”として使われていることが見えてきました。その実態とは――。【真相報道バンキシャ!】

◇◇◇

8日、「バンキシャ!」はロシアの首都・モスクワへ向かった。すると…

NNNモスクワ 平山晃一記者
「ロシア版のマクドナルドです。入り口の上に見えるのは、日本のキャラクターですね」

店に貼られていたのは、日本のキャラクター。さらに、家電量販店に行ってみると――。

平山記者
「『Nintendo Switch 2』がずらりと並んでいます」

6月に発売されたばかりの、最新の人気ゲーム機だ。値段は、日本円でおよそ11万円。日本よりも数万円高く売られていた。

ロシアによるウクライナ侵攻から、まもなく3年半。日本や欧米各国はロシアに対し、厳しい経済制裁を科し、その一部には、ゲーム機なども含まれている。なぜ、日本からは輸入できないゲーム機が売られているのか。ゲーム機の箱を見てみると…

平山記者
「中国語の表記があります」

説明文は、中国語だった。

店員
「正規ルートで輸入できないので、別の輸入先を探しています。中東や香港、中国です」

メーカーによると、「ロシアへの出荷はしていない」という。いったい、どういうことなのか。

制裁対象になっている物品は、日本からロシアに直接輸出することが禁止されている。しかし、日本から、中国などの制裁対象ではない国への輸出や、その国からロシアへの輸出は、禁止されていない。

また、海外で生産された対象の物品を、日本企業以外が、ロシアに輸出することも、規制されていない。つまり、制裁には、“抜け穴”があるのだ。その実態を調査すると制裁の“抜け穴”を通り、こうした物品が戦場で使われている可能性が見えてきた。

バンキシャ!
「ロシア兵の手元にゲームコントローラーのようなものが見えます」

◇◇◇

8日、中国南部の街・深センにある、電子機器などを扱う店が多く立ち並ぶエリアを訪れた。

NNN深セン 長谷川裕記者
「ドローンがたくさん並んでいます。ゲーム機ですね、ゲーム機も並んでいます」

“中国の秋葉原”とも呼ばれる場所に、ここ数年で、ある変化が起きているという。

ドローン店の店主
「ロシアから注文があるよ。増えているんだ」

ゲーム店の店主
「(売れているのは)コントローラーとかゲーム機本体が多いですね。ひと月で1000~2000台、多い時は3000~4000台売れました」

ロシアから、ゲーム機やコントローラーの注文が急増しているというのだ。

中国税関のデータをもとに、中国がロシアに輸出したゲーム機などの輸出額をまとめてみると、ウクライナ侵攻が始まった2022年は、およそ19億円だったが、去年は、およそ140億円。実に7倍以上に増えている。

ではなぜロシアから、ゲーム機やコントローラーの注文が相次いでいるのか。そのヒントが、ロシア国防省がSNSに公開した、ドローン部隊の映像にあった。

バンキシャ!
「これはゲームコントローラーでしょうか、ロシア兵の手元にゲームコントローラーのようなものが見えます」

ゲームコントローラーを使い、ドローンを操縦するロシア兵。別の映像でも、同じようにコントローラーで操縦する様子が確認できた。ゲームのコントローラーは、ドローンの操縦など、軍事転用される恐れがあるのだ。そのため日本などでは制裁で、ロシアへの輸出を禁止している。

中国からロシアに向け商品を売っている人に聞くと――。

ロシアへ輸出 中国の貿易商
「制裁をしているほかの国からは、ロシアに送ることはできません」

バンキシャ!
「(制裁に参加していない)中国からは送れるってことね」

ロシアへ輸出 中国の貿易商
「その通りです」

経済安全保障に詳しい専門家も、日本企業の製品が戦場で使用されている可能性を指摘する。

地経学研究所所長 鈴木一人氏
「日本から直接輸出することは避けられても、第三国経由でロシアが調達する。ゲームコントローラーであれ、そういったものが輸入されて軍事転用される可能性はあると思います」

さらに取材を進めると、武器の製造にも使える別の日本企業製の機械がロシアで使われている可能性があることがわかった。それが、日本の企業、A社が製造する工作機械、「CNC旋盤」。「CNC旋盤」とは、コンピューター制御によって、高速で金属などを加工できる機械だ。

日本テレビが、ロシアの独立系メディアと協力して入手したのは、ロシアの通関のデータだ。

バンキシャ!
「メーカー名の欄には、日本企業の名前があります。発送元を見るとCN(=中国)と書かれています」

A社の製品は去年1年間で、少なくとも192件、中国などの貿易会社からロシアに輸出されていた。ミサイルなどの武器の部品をつくるために、使用されているとみられている。さらに、ウクライナ政府も声明を発表。

ウクライナ政府
「CNC旋盤がなければ、ロシアは、あらゆる兵器の製造が事実上、不可能だ」

バンキシャ!が、再びロシア国防省のSNSを調べると、公開された軍需工場の映像には、CNC旋盤のようなものが映っていた。A社のCNC旋盤の写真と比べてみると…

バンキシャ!
「白と黒の配色とかそっくりです」

他にも、中心の形状、モニターの配置がよく似ている。A社では、「ロシアへ輸出されている状況は確認できていない」とコメントしている。

制裁の“抜け穴”を通り、ロシアに渡る物品。専門家は――。

地経学研究所所長 鈴木一人氏
「基本的に再輸出、悪意のある再輸出もそうですが、一回外に出てしまうと日本企業は管理できない」

では、第三国を介してロシアに流れてしまうリスクを減らす術はあるのか。

地経学研究所所長 鈴木一人氏
「たとえばGPSのチップを埋め込んで、もしロシアに入っているようであれば、その旋盤の機能を停止するようなスイッチをつけておく。そういった工夫はできると思います」

(※8月10日放送『真相報道バンキシャ!』より)

Share.