なぜ、日本人はこんなにも“休めない”のか?

「最近、なんだかずっと疲れてる気がする…」

そんなふうに感じている30代のビジネスパーソンは、きっと少なくないはず。

でもその疲れ、本当に“あなた自身”のせいでしょうか?

もしかすると原因は、会社の仕組みや働き方にあるのかもしれません。

元マイクロソフト役員の越川慎司さんの書籍『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)は、世界の一流たちの休日の過ごし方をお手本に、「休養」と「教養」を同時に手に入れるヒントが詰まった一冊。

その中では、日本企業に根強く残る“個人依存”の働き方や、休みにくい空気が、30代に大きな負担をかけている実態が語られています。

「頑張りすぎているのに、ちゃんと休めない」

そんな今の働き方に、少し立ち止まって向き合いたくなる――。

今回は、そんな一冊から注目の内容を抜粋してご紹介します。


日本企業に特有の「個人依存」の傾向が続いている

日本のビジネスパーソンが「休めない」→「休まない」理由の一つは、日本企業に「個人依存」の体質が根付いていることです。

個人依存とは、その人が休んでしまうと、仕事が回らなくなる……という日本企業に特有の現象を指します。

コロナ禍の混乱によって各企業で個人依存の傾向が一段と強まったことで、ディストーション(ひずみ)が30代を中心とした中間管理職に出ています。

その顕著な例といえるのが、次のような三つの現象です。


【現象(1)】30代の「モチベーション」がダダ下がりしている

個人依存というのは、仕事ができる人に仕事が集まる→その人が休むと仕事が回らなくなる→その人は休めなくなる→その人が疲弊する→チームの生産性が下がる……というサイクルを意味しています。

そのシワ寄せは、チームの中心的存在となる中堅に集中することになり、多くの企業で30代のモチベーションの低下が顕在化しています。


【現象(2)】若手への「配慮」が中間管理職を疲弊させている

中間管理職が上司と部下の「板挟み」であることは、今に始まったわけではありませんが、ここ数年は、下の世代に対する「配慮」を求められることが多くなり、それが大きな負担となっています。



彼らの部下となる20代前半は、会社の中でチヤホヤされている世代です。

人手不足の影響もあって、怒らない、早く帰す、辞めさせない……を求められているため、強い指導もできず、モヤモヤした気持ちを増幅させています。

最近では、新入社員の初任給が格段に上がっており、20代の給料が30代を追い抜く可能性が高まっていることも、彼らのモヤモヤに拍車をかけています。


【現象(3)】背負っているものが多い分だけ、ストレスが溜まる

働き方改革によって働く時間に制限が設けられ、強い指導もできなくなったことで、20代の社員が一人前になるまでの時間は延びる傾向にあります。

それを補うために、重い負荷がかかっているのが30代です。

30代の彼らは、20代の頃に厳しい先輩や上司から強い指導を受けて、怒られたり、四苦八苦しながら、苦労を重ねて一人前になった最後の世代です。

仕事の多くは必然的に30代の中間管理職に集中することになり、疲れていても休めない……という毎日を繰り返しています。

30代というのは、結婚したり、子供ができたり、家を買ったりする人が多い年代ですから、背負っているものが多い分だけ、我慢をしがちです。

社内で最も忙しく仕事をしている人たちが、最も休めない状況にあるのです。

ある大手企業では、個人依存を減らすために「二人組制度」の導入を始めています。

キャリアが同じレベルの2人がペアを組み、お互いの仕事を理解して代替できるようにしたことで、どちらが休暇を取っても仕事が回る仕組みを作ったのです。

この制度を始めたことで、有給休暇の取得率が格段に上がったといいます。

今後、日本企業が有給休暇の取得率を上げていくためには、30代の中間管理職を優先的に休ませる必要があります。

まずは30代を休ませ、その次に40代、最後に20代と50代以上というように、ターゲットを明確に分けることが大切です。

一斉に「もっと休め!」と号令を出してしまうと、実際に休めるのは20代と60代以上だけ……となってしまうのです。


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「上司が休まないと休みにくい」という風潮